藁の楯＆愛、アムール＆リンカーン＆ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日

「藁の楯」。
巨額の懸賞金をかけられた、極悪非道な犯人・清丸を護送するSPたちのお話。


清丸役の藤原竜也さん、変質者とかの役が多いのですが、いつも思います、顔がきれい
過ぎると…。きれいなお顔でさらに凄みが出る俳優さんもありますが、彼は本当に悪い
人には思えない清潔感を持っているので、どう設定しても不自然に思うのは私だけでし
ょうか…。もっと殺してやりたいほど憎たらしい犯人だったら、感情移入もできるので
すが。

ちょうど柏の強盗殺人の犯人が逮捕された日に観ていて、すごく考えさせられるものが
ありました。亡くなった方は、あんなヤツに…とさぞかし無念だろうなぁ。











「愛、アムール」。
フランス映画です。日本でも事件になる老いや介護の問題を、淡々と描いています。
個人的なイメージかもしれませんが、フランス人が演じると、悲惨なお話もなぜかオシ
ャレで素敵になりますねぇ。


最近アメリカや日本の映画はカットが多くて場面がコロコロ切り替わり、そのスピード
感を大切にしているようですが、この映画は逆にものすごく長回しです。1つ1つの画面
の圧倒感にこちらが耐えられなる時があり、試されている感じのする作品でした。
主演のエマニュエル・リヴァの演技が素晴らしいです。









「リンカーン」。
スピルバーグ監督が、史実を元に苦悩するリンカーンを描いています。
日本にいるとリンカーンの人物像というのがあまりわからないので、ちょっと新鮮でし
た。トミー・リー・ジョーンズ演じる奴隷制度に反対するタデウス・スティーブンスと
いう人もぜんぜん知りませんでしたし、ジョゼフ・ゴードン＝レヴィットだとはまった
く気づかないロバート・トッド・リンカーンのことも初めて認知しました。
リンカーンって、子供がいたのですね。


リンカーンという方は、白人と黒人とは完全に平等でないと考えていたし、ネイティブ
に対しては徹底した虐殺を行ったようです。監督は彼のよい面のみを描いていますが、
それでも権力的な駆け引きのお話が多くて、実際に存在した人物の映画は難しいと感じ
ました。「J・エドガー」や「ヒッチコック」でもそう思いましたが、政治家はもっと
ややこしいです。











「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」。
不思議なお話でした。少年がトラと漂流するのですが、幻想的で映像がとても美しいで
す。最終的にはどれが真実でどれが妄想なのかわからないのですが、そんな事どうでも
いいか…と思わせる哲学のような宗教のような神秘性がありました。
監督は台湾の方らしいですが、これは西洋人には描けないような気がします。